ミラニスタのレポート

ミランの試合内容・結果、移籍情報等を綴っています

ミランの09/10シーズン前半戦を振り返る

◇開幕前

09/10シーズンは前途多難な幕開けだった。選手時代全てをミランで過ごしたバンディエラのキャプテンであるパオロ・マルディーニが引退。そして、ミラン全盛期チャンピオンズリーグでミランの選手としてもビッグイヤーを獲得し、在任中に監督としても2度もビッグイヤーを獲得したアンチェロッティ監督が退団。そのわずか1週間後にはバロンドールも獲得し、ミランの新たな象徴となるべきカカがレアルマドリードへ移籍した。

代わって指揮を執ることに決まったのは監督経験ゼロのレオナルド。ロナウジーニョを軸とした攻撃的なサッカーの実現を目指した。キャプテンはアンブロジーニが務めることに。しかし、開幕前のチーム状態は最悪。練習試合では不安を増幅させるのみとなった。

新たに加わった選手はフンテラール、ディ・ジェンナーロ、アバーテ、オニェウら。また、半年以上前の冬から加入済みだったチアゴ・シウバがついにデビューできることに。オッドやストラーリがレンタルバック。ジゴーニ、ベレッタら有望な若手も入った。


◇8月 ミラノダービーで大敗

8/22(土) セリエA第1節 シエナ(A) ○2-1

8/29(土) セリエA第2節 インテル(H) ●0-4

開幕戦こそ白星発進したものの、続く“早過ぎるミラノダービー”で不安適中の悪夢の大敗を喫した。前半のうちにインテル新加入のチアゴ・モッタ、エトー、ディエゴ・ミリートらに完全に崩され3失点。さらにガットゥーゾが退場のうえ負傷を抱え、後の移籍話まで発展することに。後半に入ってもシステム変更、選手交代は功を成さず、スタンコビッチにダメ押しを決められ絶望感が満ちた。


◇9月 チャンピオンズリーグでまたも歴史的な敗戦

9/12(土) セリエA第3節 リボルノ(A) △0-0

9/15(火) チャンピオンズリーググループステージ第1節 マルセイユ(A) ○2-1

9/20(日) セリエA第4節 ボローニャ(H) ○1-0

9/23(水) セリエA第5節 ウディネーゼ(A) ●0-1

9/27(日) セリエA第6節 バーリ(H) △0-0

9/30(水) チャンピオンズリーググループステージ第2節 チューリッヒ(H) ●0-1

2年ぶりにチャンピオンズリーグの舞台に戻ったミランは、レアルマドリードマルセイユ、チューリッヒと同じグループに入った。国内リーグで波に乗れないまま、厳しいグループのチャンピオンズリーグを戦った。大事な初戦は難敵マルセイユとのアウェー戦。ミランはおされ気味の試合を1度は追いつかれながらもインザーギの2得点とセードルフの活躍で貴重な勝利を収めた。しかし、第2節チューリッヒ戦。またも流れの良くない試合続きで臨んだホームでの絶対勝たなければならないゲームを落とした。9月は公式戦6試合でわずか3得点。


◇10月 復調のきっかけはシステム変更

10/4(日) セリエA第7節 アタランタ(A) △1-1

10/18(日) セリエA第8節 ローマ(H) ○2-1

10/21(水) チャンピオンズリーググループステージ第3節 レアルマドリード(A) ○3-2

10/25(日) セリエA第9節 キエーボ(A) ○2-1

10/28(水) セリエA第10節 ナポリ(A) △2-2

10/31(土) セリエA第11節 パルマ(H) ○2-0

前半戦の転機となった10月。そのホームでのローマ戦。7節終了時点でわずか2勝、勝点9、12位と沈んでいたミラン。点の取れないパトとロナウジーニョのツートップ、それまで好セーブを続けていたストラーリの離脱によるジーダのスタメン。そしてアバーテを中盤の右サイドに置く苦肉の4-4-2策で挑んだが、チアゴ・シウバのミスから早々に先制を許す立ち上がりだった。チャンスのほとんどなかった前半から後半に打ち出したレオナルドの作戦が4-3-3。アバーテに代えてインザーギを入れ、右にパト、左にロナウジーニョを置いた。そしてロナウジーニョのPKで追いついたあとの67分。その後のミランを変える大きな1点が入った。ロナウジーニョの得意の逆サイドへのロングパスからパトが決めた。続くレアルマドリードとの大一番にも4-3-3で挑んだミランはパトの2得点を含む3得点で、サンチャゴ・ベルナベウでの歴史的初勝利を記録した。10月は公式戦6試合でアウェー4試合でありながら12得点で無敗だった。


◇11月 セリエで2位浮上

11/3(火) チャンピオンズリーググループステージ第4節 レアルマドリード(H) △1-1

11/8(日) セリエA第12節 ラツィオ(A) ○2-1

11/22(日) セリエA第13節 カリアリ(H) ○4-3

11/25(水) チャンピオンズリーググループステージ第5節 マルセイユ(H) △1-1

11/29(日) セリエA第14節 カターニア(A) ○2-0

11月も引き続き無敗。しかし、無失点の試合はまたも1試合のみ。それでもパト、ボリエッロ、ロナウジーニョのスリートップが調子を上げてきた。特にロナウジーニョはドリブルでの仕掛け、アシストで輝きを取り戻してきた。そしてアウェーでのカターニア戦がまた話題の1戦となった。加入してから出番もほとんどなく、得点もなかったフンテラールがついに移籍後初ゴールを記録。カターニア戦もわずか10分程度の出場だったが、値千金の2得点をロスタイムに決めた。ミランの選手を含む全てのミラニスタが待っていたゴールだった。この勝利でミランは2位に浮上。10月、11月の8試合で勝点20を荒稼ぎした。


◇12月 チャンピオンズリーグはグループ2位で決勝ラウンド進出も疲労蓄積が顕著に

12/5(土) セリエA第15節 サンプドリア(H) ○3-0

12/8(火) チャンピオンズリーググループステージ第6節 チューリッヒ(A) △1-1

12/13(日) セリエA第16節 パレルモ(H) ●0-2

12/19(土) セリエA第17節 フィオレンティーナ(A) 試合延期(→1/27開催予定)

アントニーニも調子を上げてきてサンプドリアに勝利したミランはセリエ5連勝を記録。チャンピオンズリーググループステージ最終節もドローに終わったが2位通過を決めた。ところがパレルモ戦でついに公式戦13試合ぶりの敗戦。ミラノダービーに続くホームでの黒星には暗雲が立ち込めた。4-3-3システム確立後、メンバーをほぼ固定し続けたレオナルド。特に運動量の負担の大きい中盤は動けなくなっていった。年内最終戦となるはずだったフィオレンティーナ戦は現地悪天候により延期。2度目のミラノダービーの直後に行われることになった。


◇戦績

セリエA 2位 勝点31 9勝4分3敗(1試合未消化) 23得点(平均1.44)17失点(1.06)

チャンピオンズリーグ グループC 2位 勝点9 2勝3分1敗 8得点(1.33)7失点(1.17)

主な得点

パト セリエ:7得点 チャンピオンズリーグ:2得点
ボリエッロ セリエ:4得点 チャンピオンズリーグ:1得点
ロナウジーニョ セリエ:3得点 チャンピオンズリーグ:2得点
セードルフ セリエ:3得点 チャンピオンズリーグ:0得点
フンテラール セリエ:2得点 チャンピオンズリーグ:0得点
インザーギ セリエ:1得点 チャンピオンズリーグ:2得点

ユベントスが絶不調ということもあってセリエでは2位で前半戦を折り返すことができた。首位インテルとの勝ち点差は8。1試合消化が遅れているといってもこれ以上は離されてはならない。国内では相変わらずの強さを見せるインテルなので、後半戦の22試合は無敗でいくぐらいでないとスクデットは厳しい。インテルがこのペースで勝点を積み重ねるとすると、ミランは17勝5分ぐらいが目安になる。チャンピオンズリーグは決勝ラウンド1回戦でマンチェスターUと対戦することが決まった。マンチェスターUとは相性は良い。今シーズンは故障者が多いこともあって国内リーグでは取りこぼしも多く安定感に欠けている。それでもチャンピオンズリーグで好成績を残す常連チーム。強敵であることは言うまでもない。ちなみにインテルもイングランドのチェルシーと。どうして毎年こういう組み合わせができるんだか…。フィオレンティーナバイエルンと対戦。イタリア勢は強敵ばかりと当たることになった。


◇チーム状態と今後の展望

現行システム:4-3-3 GK:ジーダ DF:ザンブロッタ ネスタ チアゴ・シウバ アントニーニ MF:アンブロジーニ ピルロ セードルフ FW:パト ボリエッロ ロナウジーニョ

・GK ジーダ ストラーリ アッビアーティ ローマ
アッビアーティが長期離脱していることもあり、序盤はストラーリ、ストラーリも負傷してからはジーダがゴールマウスを守っている。ジーダは夏に契約が切れることもあって移籍か1年延長か。ストラーリも良いセーブを見せていたが安定感はない。マルケッティは加入が近いと言われているが…。

・DF ネスタ チアゴ・シウバ ザンブロッタ オッド カラーゼ アントニーニ ファバッリ ヤンクロフスキ オニェウ ボネーラ
ネスタは前半戦のMVP。チアゴ・シウバとのコンビは抜群。しかし控えがいない。オニェウ、ボネーラは長期離脱。カラーゼ、ファバッリではもうセンターバックは務まらない。右サイドバックザンブロッタ、オッド、もしくはアバーテ。左はアントニーニ、ザンブロッタザンブロッタがいないと崩壊済みのポジション。とは言えザンブロッタもとっくにピークは過ぎていて恐さがなくなった。オッドも負傷。アバーテもサイドバックはやはり守備力に難がありすぎる。ヤンクロフスキも戦力外に近い。アントニーニになんとか頑張ってほしいがそれでも足りない。両サイドとも補強は必須。センターバックはアストーリを呼び戻すくらいなのか。オタメンディを是非。サイドバックはフィリペ・ルイス、ガレス・ベイル、ドレンテ、アドリアーノベーラミ、トレムリナスと左ばかりだが良い選手の名は挙がっている。可能性は低そう。

・MF ピルロ アンブロジーニ ガットゥーゾ フラミニ セードルフ
ガットゥーゾは契約延長が決まったばかり。それでもレオナルドのファーストチョイスはアンブロジーニ。このポジションはフラミニも含めて十分ローテーションができるはずだからそうしてほしい。代えがいないのがピルロセードルフのところ。年の割に2人とも元気で調子が良いのが救いだがもう厳し過ぎる。早急に手を打たなければならないポジション。ベッカムが冬からまた半年だけ入るがその場凌ぎ。来季以降のことも考えると若い選手が必要。ベッカムが入ってもセードルフの役回りは難しいように思う。エデルソンくらいしか候補がいない。ピルロのところはエルナネス、レデスマ、ガゴあたり。若手の注目だとジョルジニオ・ヴァイナルドゥム、エゼキエル・マティアス・スケロット。

・FW パト ロナウジーニョ ボリエッロ インザーギ フンテラール アバーテ ディ・ジェンナーロ
右パト中央ボリエッロ左ロナウジーニョが基本形。ボリエッロの交代にインザーギが入るパターンがほとんど。センターはフンテラールもいて選択肢が多い。フンテラールをもっと使ってほしい。ワールドカップのこともあって移籍話が絶えない。冬の最注目株になってしまっている。右のパトは左でも使えて調子さえ良ければ軸となる選手。アバーテは途中交代で出すには格好の選手だが、先発から出すのはまだまだ。ディ・ジェンナーロは負傷もあって出場機会はない。FWに関してはアディアーが加入決定済みだが、アフリカネーションズカップで招集されていることもあって戦力としては計算できない。衝撃デビューもあるかもしれないと期待はしているが…。その他にはパロスキを戻すことも可能性が高そうだが、フンテラールの移籍に拍車をかけるだけ。インザーギもまだできる。ここはウイングタイプがほしい。デンベレ、クラシッチルイス・スアレスが挙げられるが可能性は低そう。ナニとか両サイドできるけど…。パンデフもなさそうだし。ジュゼッペ・ロッシとか選択肢が増えて良さそうだけどまずない。若手で言えばネイマール、アルビン。


いずれにしても補強資金そのものがない。ないならないときにしかできない最善策を是非ともとってほしい。目先の勝利だけに囚われるようなとりあえずの補強ならしない方がいい。移籍金ゼロの選手でも高齢でピークを過ぎてるとか…。20代前半までの若手を今のうちに。


さて、年明け最初の試合は1/6(水)ジェノアとのホームゲーム。ワールドカップイヤーでもあるのでモチベーションを高めて素晴らしいゲームをすることを期待したい。